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糖尿病薬メトホルミン- スルホニル尿素薬より心臓病による死亡のリスクを低減

糖尿病薬メトホルミン- スルホニル尿素薬より心臓病による死亡のリスクを低減

140万人以上の被験者を含む204の研究による新たな分析では、2型糖尿病の治療薬として、最も頻繁に処方されているメトホルミンが、直近の競合薬、スルホニル尿素と比較して、心臓病で死亡するリスクが約30〜40%も少ないことがわかりました。

糖尿病は現在、米国の人口のほぼ10%に影響を与え、国民の健康の脅威となっています。
ほとんどの人が最終的に薬物治療が必要になると研究者は述べています。

「メトホルミンは明確な勝ち組のようです。」と、ジョンズ・ホプキンス大学医学部の助教授、ニサ マルサー博士は述べています。
「今後2〜3年の間に、2型糖尿病の治療に一石を投じる可能性があります。」
マルサー博士のメタ分析によると、心臓発作や脳卒中など、心血管系で死亡する人は、血糖値の制御が不能であることが主要なリスクとなっています。
しかし、糖尿病薬のひとつがこれらの死亡者数を低下させるのに、他の手段より優れているのかどうかは明確ではありませんでした。
他の糖尿病関連の合併症には、失明や腎不全、および四肢切断などがあります。

マルサー博士は、この情報は、2011年に発表された2件の分析についての新たな情報だと述べています。
研究者は、その発表以来、様々な血糖降下薬の有効性を比較する新しい研究を100件以上発表しており、その報告以降、新薬も市場に出回っています。

先述した204件の研究は、欧州、アジア、アメリカ大陸の50か国以上の様々な国と地域にまたがりました。
研究のほとんどは、短期間のもので、2年以上継続する研究はわずか22件でした。
研究の参加者は、一般的に血糖値はコントロールされておらず、皆、肥満でした。多くの研究では、高齢者や健康に重大な問題をかかえる人は除外されていました。
研究の半分程度は、人種や民族については言及されていませんでしたが、研究者からは、非白人の参加者はわずか10%~30%であったと報告されています。

マルサー博士は、心血管疾患の分析だけでなく、血糖コントロール、体重増加、低血糖症および胃腸障害などの一般的な副作用を含む、 他の薬物の効果を見て新たな分析が必要だと述べています。
2型糖尿病患者の大多数は、最終的に複数の血糖降下薬を組み合わせて使用するので、マルサー博士のチームは、また、 メトホルミンを単独で使用した場合と他の薬と組み合わせて使用​​した場合、薬物がどのように作用するのかについても評価しました。

研究参加者の一部は、インスリン使用者でしたが、他の薬物と組み合わせて使用​​される場合のみ、この注射剤は評価されました。

その他の調査結果中、新しい報告では、2011年審査の時点で新薬だった抗糖尿病薬のクラス、DPP-4阻害薬が、 メトホルミン、スルホニル尿素に比べて、血糖値の低下には明らかに、効果的でないことが分かりました。

副作用の面では、尿を通して体外に余分なブドウ糖を排出する作用のあるSGLT-2阻害剤として知られている新しい薬物のクラスは、 ユーザーの10%が、この薬剤特有の副作用として、酵母感染を引き起こしているとマルサー博士は述べました。
しかし、SGLT-2阻害剤は、GLP-1受容体作動薬として知られている別の薬剤クラスと一緒に服用することで、患者の体重の減少を助けることが分かりました。
一方でスルホニル尿素は、体重増加を引き起こし、経口薬の中では、最も低血糖症を引き起こすか、もしくは、急速な血糖値の下降をもたらしました。

マルサー博士のチームは、研究間のプロトコルや測定値の違いためにメタ分析が制限されてしまうことを警告し、同様の方法を用いた研究のみの組み合わせで比較研究を行うよう確認しました。
また、彼らのメタ分析から、研究の対象から外れている糖尿病薬を服用している被検者が含まれる研究を除外しました。

全体的な分析結果は、1990年代後半以来、市場に出回っているメトホルミンが、1950年/1960年代後半から販売されている スルホニル尿素、および糖尿病薬と同等、それ以上に機能していることを示しています。
マルサー博士は新たな発見がメトホルミンを第一選択治療として使用することが現在の勧告に添っているとしていますが、彼女は、 患者と医師がメトホルミンとの組み合わせて使用​​される第ニの薬剤を選択する必要があるときに本当の問題が生じると述べています。

「全ての薬には、異なる利点と副作用があるので、第二治療薬の選択は、個々の患者の嗜好に基づく必要があります。」とマルサー博士は述べています。

処方糖尿病薬の価格はまた検討が必要な事項です。
メトホルミンは一般的に比較的安価で入手することができますが、新薬の多くは、かなり高額です。
糖尿病治療薬の2014年のひとり当たりの薬剤への支出は、非ジェネリック薬だったということもあり、伝統的な他の失陥の治療薬よりも高額となりました。

(記事元)
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/04/160419081703.htm