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JapanRx / 『スタチンの摂取は短期記憶に影響の心配はなし』- 研究での発見

『スタチンの摂取は短期記憶に影響の心配はなし』- 研究での発見

ラトガース大学とペンシルベニア大学が行なった約100万人の高脂血症患者を対象とした研究によれば、以前の主張に反してコレステロールを低下させるスタチン系薬剤の摂取は、高脂血症患者の短期記憶の喪失を引き起こさない可能性が高いといいます。  
ラトガーズ・バイオメディカル・アンド・ヘルス・サイエンス(RBHS)の首席研究者でこの研究を主導を主導した著者であるブライアン・L・ストローム氏によると、限られた以前の研究や一部のスタチン系薬剤の服用者により、スタチン系の脂質低下薬を服用した後の記憶の喪失が報告され、その結果、一部の人々は不適切にもスタチンの服用を中止しているとのこと。

疾病管理センターによれば、米国で毎年約61万人が心臓病で死亡しており、それは死亡者の4人に1人に当たります。
45歳以上のアメリカ人の4人にひとりは、コレステロールの合成を制御する肝臓酵素を阻害し悪玉コレステロール(LDL)を低下させる薬剤である、スタチンを服用していると言われています。

スタチンは、心臓病の主要な危険因子の1つである高コレステロールを低下させ、心臓発作およびそれに関連した死亡を予防するのに非常に有効であることが証明されています。
もしスタチン系薬剤を単独で服用し、効果的にコレステロール値が低下していない、あるいは患者がその薬剤を許容しない場合、スタチン系でない薬剤が処方されることが多いとストローム氏は述べています。  

本日の、医療機関誌『JAMA内科医療』で発表された研究では、スタチンの新規服用者とスタチンを不服用の患者を比較しました。
新規のスタチン服用者はまた、以前の研究では行われていなかった非スタチン系高脂血症治療薬を服用している第2の対照群と比較されました。  

この研究では、スタチンを服用している患者の多くは、非利用者と比べて、実際、最初に薬物の服用を開始してから約30日後に記憶の喪失が報告されましたが、同じことが非スタチン系高脂血症治療の利用者にも見られました。  

「これは、コレステロールを低下させるものが短期記憶に対して同じ効果をもたらしていることを意味し、全く異なる構造の薬物が含有されているといった理由は科学的に信憑性がありません。」とストローム氏は述べています。    
また、彼はこうも述べています。
「「検出バイアス」が理由である可能性が高いとし、それは新薬を服用している患者がより頻繁に彼らの医者を訪問し、彼らの健康に非常に敏感となっている可能性が高いことを意味しています。 スタチンや新薬を新規患者に投与すると、より頻繁に医師の診察を受けたり、何か投薬で間違っていることはないかどうかに注目するはずです。もし彼らが記憶上の問題を抱えたのなら、それに気づくでしょう。そして、たとえ薬と記憶障害が無関係であっても薬のせいにしてしまうでしょう。」  

また他の研究では、スタチンが長期記憶を改善することを既に確認しており、短期記憶の喪失も懸念されないことが示されています。
「スタチンの短期記憶の問題は心配するべきことではなく、長期的には記憶は改善されることが分かっています。そして、結論としては、高コレステロールの人はスタチン系薬物を摂取すべきです。」とストローム氏は述べています。  

スタチンには、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンが含まれ、非スタチン高脂血症治療薬には、コレスチラミン、塩酸コレスチポール、コレセベラム、クロフィブラートおよびゲムフィブロジルなどがあります。  

「これらは非常に効果的な治療薬であり安全です。薬は100%安全であるとは言えませんが、国内の心臓病患者を劇的に減らすことができます。記憶の問題に対する誤った恐怖のために、薬を遠ざけてはなりません。」  

『スタチン療法と急性の記憶障害のリスク』と題されたこの研究では、スタチン系薬剤摂取中の482,542人に対し、無作為に高脂血症薬を使用していいない482,543人が選択され比較が行なわれました。 第2の対照群には、26,484人の非スタチン高脂血症治療薬の使用患者が含まれていました。  

【記事元】https://medicalxpress.com/news/2015-06-statins-dont-memory-loss.html