電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / ストレスで白髪になる理由がついに明らかに

ストレスで白髪になる理由がついに明らかに

1902年、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルによって、急速な白髪の発生症例が報告されました。

ロンドン・テンペランス行インの医師によると、22歳の女性が、「喉が切り裂かれた女性が自分の足元に倒れ込むという悲劇を目撃した」といいます。
翌日、彼女の陰毛の右半分は白髪になり、左半分は黒いまま残りました。

この歴史的なケーススタディは、通常は良くある出来事の、酷く奇妙な(そして急速な)例を示しています。
白髪は、ストレスによって蓄積するようです。
そして、人々の色素を喪失させるのは、たまたま遭遇する暴力だけではありません。
大学の試験や子供、仕事のプレッシャーも、私たちの色素を変化させるようです。しかし、
しかし何千年もの間、学者たちはこの現象を合理化するため、殆どを逸話的な証拠や直感に頼ってきました。
明確な証拠が存在しないため、多くの科学者はストレスで頭髪が白くなることは無く、これは化学物質や免疫系の異常作動によって引き起こされているはずだと考えていました。
医師が急速な白髪化を目の当たりにした稀な症例(1902年のBMJ研究のような)は、無限の驚きを生みました。

ネイチャー誌に水曜日に公開された最近の論文は、こうした議論の一部を収束させるかもしれません。
この研究では、米国およびブラジルの幹細胞および再生生物学者が、ストレスが実際髪の色素喪失を引き起こす可能性があると報告し、これが起こり得る細胞経路を特定しました。

この厄介な関連を研究するため、研究者は精巧な動物モデルを作成しました。
研究は基本的に、実験によって黒い毛のラットを白い毛に変えようとするものでした。
研究者は、拘束ストレス、長期予測不能ストレス、および物理的な痛みによって(もしくは痛みの恐怖によって)引き起こされる痛覚誘発ストレス、計3つの異なる戦略を使用しました。
いずれの方法も、ラットの毛を白く変えることに成功しました。
恐らく驚くべきことではありませんが、科学者がトウガラシ化合物カプサイシンの類似体であるレジニフェラトキシンをラットに注射することで刺激を与えた痛覚誘発ストレスが、最も効果が高く、素早い反応が見られました。

ラットをパニック状態にする最適な方法を特定した後、チームは、これに対応する被毛の色を生じさせる生物学的経路の変化を探し始めました。
研究者は特に2種類の細胞(毛と皮膚に色素を生成する分化したメラニン細胞と、メラニン細胞が発生する原料であるメラニン幹細胞)に興味を持ちました。
それぞれを独立して観察するため、研究者は、ラットの被毛が活発に成長している時に、ラットに唐辛子様の物質を注射しました。
被毛成長サイクルの中で、毛球内で分化したメラニン細胞が自然に集まる時、一方でメラニン幹細胞は毛隆起と呼ばれる別の部分で集まっていました。

注射と投与して5日後、ラットの被毛は黒いままでした。
毛球内の分化したメラニン細胞は、色素を放出し続けました。
しかし多くの毛包において、過度の負荷をかけられたメラニン幹細胞は「完全に消失」したと、研究者は報告しています。
ストレスに反応して急増する神経伝達物質であるノルアドレナリンの大量発生に押されて、既存の幹細胞は急速に増殖し、元々いた場所からは完全に消失しました。
次にラットの被毛が成長した時、これらの損傷を受けた毛包にはメラニン幹細胞が残っておらず、その為白髪が現れました。

「わずか数日の間に、色素再生幹細胞の貯蔵庫が枯渇しました。」と、ハーバード大学の幹細胞および再生生物学の教授であり研究著者であるYa-Chieh Hsu氏は、PopSciへのメールで語りました。
「そして、一旦これが無くなると、色素はもう生成されなくなります。」

「これは頭髪が白髪化する重要なメカニズムを解明した非常に洗練された論文です。」と、サンフォード・バーナム・プレビス医学研究所で開発、老化、再生を研究しているAlexey Terskikh氏はメールで書いています。

しかし、毛髪の色素が失われる原因は、他にもたくさんあります。
2018年に発表されたとある論文では、過剰な免疫反応も、ラットのメラニン細胞やメラニン幹細胞を破壊する可能性があることが示唆されました。
特定の皮膚がん治療薬も、患者の毛髪の色を白く変化させます。
医師は、これは体が薬に良好に反応している兆候であると考えています。
Terkikh氏によると、遺伝的経路、環境的経路、及び突然変異も関わっている可能性があるといいます。

毛髪には、まだまだ多くの秘密があります。
私たちは、顔や背中、頭髪の脱毛方法が異なる理由を知りません。
そして、残念なことに、世界的に有名な陰毛を持つイギリス人女性に起こった、一晩で毛髪の色素が抜ける現象である突然の白髪症について、共通の見解を得ていません。
しかし、多くの症例において、科学者の回答は絞り込まれてきています。
近年では、抗脱毛薬の研究や開発が急増しており、その多くで有望な結果が示されています。
Terskikh氏については、多能性幹細胞のようなものを使用してゼロから髪を再生することに取り組んでいます。
これが成功すれば、恐らくあらゆる面において、毛髪を無限に成長させることが可能になります。

出典 2020年1月27日更新 Popular Science『We finally know why stress turns your hair white』(2020年2月27日に利用)
https://www.popsci.com/story/health/stress-causes-white-hair/