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JapanRx / メトホルミンを服用している糖尿病患者にビタミンB12が必要な訳

メトホルミンを服用している糖尿病患者にビタミンB12が必要な訳

 研究者らは、メトホルミンが糖尿病患者の一部でビタミンB12の値を低下させる可能性があると述べています。
メトホルミンを服用中の糖尿病患者には、ビタミンB12の値を検査することが勧められます。

2型糖尿病の治療薬として最も処方されているこの薬剤では、実際に多くの患者の間で不可逆的な神経損傷を引き起こしている可能性があります。
グルコファージ(Glucophage)の商品名でも知られているメトホルミンは、世界中で1億2,000万人以上の患者に処方されている人気のお薬です。
この薬剤は肝臓によって産生されるグルコースの量を減少させ、また、インスリンに対する感受性を増加させることによって作用します。
英国の2つの病院で行われた最近の研究により懸念が確認されています。

メトホルミンは、処方された患者の約10%程度でビタミンB12欠乏症を引き起こしています。
この研究は、ノッティンガムにあるHucknall Road Medical Centerのケエナート・ムーラ医師らにより行われました。
研究者らは、メトホルミンを摂取している2型糖尿病の女性患者のビタミンB12スクリーニングおよび欠損についての調査を行いました。
調査の結果、患者の64%がビタミンB12レベルを全く調べていないことが示され、患者のうち9.6%はビタミンB12が不足していたものの、6.4%はビタミン剤(ビタミンB12)で治療されていました。」と述べました。  

なぜB12が重要なのか
ビタミンB12は、脳および神経機能の発達および機能において重要な役割を果たします。
最も重大な懸念として、健常なレベルで血糖値を管理している糖尿病の患者であっても、重篤で恒久的な神経の損傷が見れる可能性はあるということなのです。
ビタミンB12は、中枢神経系と末梢神経系を保護する脂肪物質で、ミエリン鞘の形成と維持に不可欠な物質です。
メトホルミンを服用している糖尿病患者の場合、その服用による永久的な神経障害は、高血圧糖尿病の既知の合併症である末梢神経障害として誤診される可能性があります。
「顔面、手足、臓器などの周辺部の神経障害」は、糖尿病の一般的な合併症であり、麻痺から痛みに至るまで様々な症状があり、それは栄養バランスと協調の喪失につながる可能性があります。    

潜在的に危険な診断
末梢神経障害の診断は、患者の糖尿病を治療するために使用される薬物そのものの副作用ではなく、患者が血糖管理を誤ったことに起因する可能性があります。
「現在のイギリスの血液学会のガイドラインでは、ビタミンB12レベルは、臨床的に不完全な疑いがある場合にのみ検査されることが推奨されています。」とムーラ医師は説明します。
しかし、末梢神経障害は不可逆的であるため、発症した際には手遅れである可能性があります。
医師が未熟である場合は、患者の血糖値を改善するために、より高用量のメトホルミンを処方することさえあり、実際には薬物自体の副作用が原因であることに気づかない可能性もあります。

「私は約5年前からこのことについて確認を行ってきました。」と、ニューヨークのレノックス・ヒル病院で骨の欠損症を専門とする内分泌専門医のキャロライン・メッサ医師は、ヘルスライン(本誌)に話しました。
「しかし、それを検査するためのガイドラインがありません。」

メッサ医師によると、一部の医師は患者のビタミンB12レベルを検査しているものの、それが糖尿病ケアにおいて公式に標準化されていないため、多くの医師は検査を行いません。
「私の診療所では、B12が欠乏しているメトホルミンの患者さんは、さほど見かけません。ここではまれではあるもののこの研究では、メトホルミンを服用している全患者の10%が不足していると報告されており、それは少ない数値ではありません。」と彼女は述べました。  

ビタミンB12欠乏症とは?
メッサ医師は、一度、神経の損傷が起こると、修正することはできないことを強調しています。
しかし、ビタミンB12の欠乏が基本的血液検査によって確認された後であっても、サプリメントとしてビタミンB12を摂取することにより、さらなる神経損傷は防ぐことができます。
ビタミンB12欠乏症の症状には、下痢(これはメトホルミンの最も一般的な副作用です)、便秘、疲労、食欲不振、肌色が薄くなる、舌が赤く炎症、および歯肉炎による出血などがあります。
ビタミンB12欠乏症になると、永続的な神経損傷、脳機能の低下、記憶喪失などが起こり、また、女性においては一時的な不妊症などを引き起こします。

アメリカ国立衛生研究所によると、糖尿病でなくともビタミンB12欠乏症は、一般的に米国人口の15%にあたる人に見られます。
メトホルミンは単にビタミンB12の吸収不良を引き起こす可能性はありますが、なぜ薬物を服用している患者にビタミンB12が不足するのかを説明する決定的な理論がないとメッサ医師は述べています。

サプリメントは服用すべきでしょうか?
メッサ医師は、サプリメントを摂取することで、ビタミンB12欠乏症を治療し、さらなる神経損傷を予防しながら、処方通りにメトホルミンを服用できると述べています。
正常なビタミンB12の値は、190〜900 ng / mL(ナノグラム/ミリリットル)とされていますが、メッサ医師は300ng / mL未満の値でも任意での治療を示唆しています。
「メトホルミンを服用しているなら毎年ビタミンの数値検査を行ってください。」と彼女は言います。
「300mg / mL以上であるなら、サプリメントは必要ありません。」
ムーラ医師は、この研究を理由として患者はメトホルミンの服用を止めるべきではないことを結論付けて、同様に注意を促しています。
「メトホルミンは2型糖尿病の最も良い治療薬です。 これらの知見は、薬の服用を妨げるものではなく、医師がビタミンB12の値をより日常的に監視するよう促すことで、欠乏症を迅速に治療することができることを報告しています。」と述べています。

【以下のウェブサイトより引用】
https://www.healthline.com/health-news/check-your-vitamin-b12-levels-if-you-take-metformin