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メトロノミック化学療法 - 腫瘍のための治療オプション

癌を患うペットにとって、化学療法により、たとえ終末期であっても、より長く、より質の良い生活を送ることは可能です。

しかし、従来の化学療法プロトコールは、すべての飼主やペット、またはその疾患プロセスに適切なものではありません。
コロラド州デンバーで開催されている2018年の米国獣医学会では、『メトロノーム化学療法』と呼ばれる新たな選択肢が加わり代替治療法を提供しています。

  “最大耐量”とも呼ばれる従来の化学療法プロトコールは、直接、腫瘍細胞を死滅させることを目的として、高用量の細胞傷害性薬物を与えることに頼っています。  
骨髄や胃腸管などの急速に分裂する組織を正常な状態に回復させるためには、治療間の休薬が不可欠ですが、休薬により腫瘍細胞が再増殖し、時間の経過とともに薬剤耐性がついてしまう可能性があります。  
従来のプロトコールにはさまざまな副作用があり、獣医師は患者であるペットには最小限の生活の質は保てるように雇用主とも協力していますが、 これらのプロトコールは、
総体的な転移性疾患に直面した場合でも成功しないことが多いと言われています。  

対照的に、メトロノーム化学療法は『定期的かつ頻繁な間隔で、低用量の細胞傷害性薬物の中断が行なわれない投与方法』です。  
この治療方法は、腫瘍細胞を直接破壊する代わりに、腫瘍を供給する血管壁の迅速に分裂する内皮細胞を標的とすることによって、腫瘍の血管新生を妨げます。
腫瘍細胞の死滅は、腫瘍細胞が適切な血液の供給なしでは分裂を繰り返し続けることができないため、継続的な増殖および転移を阻止するのです。  
また、薬剤の使用は低用量であり、独特な細胞標的を持つため、正常細胞に対する毒性は最小限に抑えられ、また、連続投与のため内皮細胞の回復を妨げます。
この治療の第一の目標は、治癒ではなく疾患を安定化させることなのです。  

メトロノーム化学療法のプロトコールでは、基本的に毎日または1日置きに、2、3種類の薬剤の組合せにて自宅で経口投与されます。
第1の薬物は、シクロホスファミド、クロラムブシルまたはロムスチンなどの低用量の化学療法剤です。  
低用量での薬物は毒性は最小となりますが、その投与に関して危険性がないわけではありません。
例えば、無菌の出血性膀胱炎は、シクロホスファミドの既知の衰弱性の副作用であり、低用量プロトコールにおいてでさえも確認されています。

そして第2の薬剤は、チロシンキナーゼ阻害剤(トセラニブ)または非ステロイド性抗炎症薬のような抗血管新生薬物です。
場合によっては、抗炎症効果のあるドキシサイクリンがプロトコールに加えられます。  

研究を主導するエッティンガー博士は、全身転移性疾患に罹患して3〜4年間生存した患者である動物を含む、メトロノーム化学療法で成功したいくつかの事例を博士の症例から共有しています。彼女は自身のウェブサイトでメトロノーム化学療法のクライアント配布資料を提供しています。  

また博士はメトロノーム化学療法は、新生物疾患における治療基準として認められたものに取って代わられるべきではないと警告しました。  
理想的な腫瘍標的と、最良の薬物および用量スケジュールを決定するためには、より多くの研究が必要です。
しかしながら、メトロノーム化学療法は、転移性疾患および不完全切除された腫瘍がある場合に有望な選択肢を提供します。
エッティンガー博士の言うように、私たちは患者であるペットたちが『より長くより幸せに生きる』ことを願っています。  

【以下の記事より引用】
https://www.americanveterinarian.com/news