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早期治療が結節性硬化症での自閉症行動の改善を助ける

- 科学者たちは社会性障害を改善するための介入時期を発見-
マウスモデルを使用した自閉症に関する新しい研究では、低年齢期での薬物治療が社会性障害を元に戻すことができることを発見しました。
しかし、同じ介入はより年齢が上にになると効果がありませんでした。

この研究は、自閉症スペクトラム障害に関連した状態である社会的障害を改善するための治療の重要なタイミングを明らかにした最初のものです。
アメリカ・ボストン小児病院、テキサス大学、ハーバード大学医学部およびカナダ・トロント小児疾病病院による論文が本日、Cell Reports誌に掲載されました。  

結節性硬化症と自閉症

自閉症の人々の複雑な認知行動、および精神神経行動を調節する可能性が高い、何百もの遺伝子の多くは依然として謎のままです。
ただし、結節性硬化症複合体、またはTSCなどの遺伝的疾患には手掛かりがあります。
これらの患者は、TSC1またはTSC2遺伝子に変異があることが多く、約半分が自閉症スペクトラム障害を発症します。
テキサス大学・サウスウェスタンメディカルセンターのピーター・ツァイ博士が率いる研究者らは、TSC1遺伝子が小脳と呼ばれる
脳の領域で削除されているマウスモデルを使用しました。

この研究の主任研究員でトランスレーショナル神経科学センターとトランスレーショナルリサーチプログラムを指揮するムスタファ・サヒン博士は、
次のように述べています。
「以前に発表されたTSCのマウスモデルはいくつかありましたが、それらはすべてが発作を起こしており、
人生の早い段階で死亡したため、社会的認知の研究が困難になっています。」
「それが、自閉症に関与している小脳の「プルキン工細胞」のみでTSC1遺伝子をはじき出すことにした理由の1つです。
これらのマウスは正常な寿命を全うし発作を起こしません。」  

タイミングが全て

この研究で、サヒン博士らは、生後1週目から、変異型マウスをラパマイシンで治療しました。

ラパマイシンは、TSCに関連した脳腫瘍、腎臓腫瘍および難治性てんかんの治療のためFDAに承認された薬剤です。
研究者らは、それが社会性障害と反復行動の両方を救うことができることを発見しました。

しかし、TSCの小児において同様の薬剤であるエベロリムスをテストしたところ、神経認知機能と反復行動は有意には改善されませんでした。
サヒン博士と博士のグループは、治療が効果的になる特定の発達期間があるのではないかと疑いました。

新しいマウスの研究では、特定の自閉症関連行動について、効果的なラパマイシンによる治療のためには、時間枠だけでなく、
これらの敏感な期間での細胞、電気生理学的および解剖学的メカニズムのいくつかについても詳しく述べています。
「我々は、生後6週間の若年成人期に開始された治療が、マウスの社会的行動を救助したものの反復行動や認知的柔軟性がないことを発見しました。」
とサヒン博士は言います。

さらに重要なことに、治療介入が生後10週目に開始されると、社会性障害も反復行動も反応しませんでした。  

新しい臨床試験については?

マウスでの研究結果に基づいて、サヒン博士は現在、早期治療によってTSCの小児における広範囲の自閉症様行動を改善できるかどうかを
テストするための資金を募っています。

具体的には12か月〜24か月という早い時期からの治療の介入が社会性障害と反復的で柔軟性のない行動の両方を防ぐのに役立つかどうかを探る予定です。
彼は6歳から21歳までの子供を対象とした以前の臨床試験よりも優れた結果を得たいと考えています。

過去の研究では、自閉症関連の疾患によって治療の時期が異なる可能性があることが示されています。
例えば、レット症候群の動物での実験は、治療介入が比較的遅い時期でも有効であり、なお神経学的転帰を改善する可能性があることを示してます。

*この記事は、2018年10月8日に掲載されました。

【以下のウェブサイトより引用】
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/10/181009155116.htm