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睡眠におけるセロトニンの役割

‐十分な睡眠をとるためには脳内化学物質が必要 -
セロトニンは脳全体に見られる多目的分子であり、記憶、認識、そして幸福感や他の感情の感情において役割を果たしています。
特に、研究者たちは、睡眠におけるセロトニンの役割について長い間議論してきました。

セロトニンは睡眠やその反対の覚醒を促進するのでしょうか?  

カリフォルニア工科大学(Caltech)の科学者たちは、セロトニンがゼブラフィッシュとマウスモデルにおいての睡眠に必要であることを発見しました。
この研究についての論文は6月24日に『Neuron』のオンライン版で掲載されます。

この研究は、Caltech研究所の生物学教授のデビッド・プロバー博士 らによる共同研究です。
セロトニンと睡眠に関する以前の研究では、矛盾する様々な結果が出されました。
研究のいくつかでは、セロトニンが睡眠を促進することが示されたものの、他の研究では、セロトニン産生ニューロンが最も活動的で覚醒時に
化学物質を放出することが示されました。
こういった研究の矛盾を解決するために、Caltechの研究チームは、『縫線核』と呼ばれる、セロトニン産生(またはセロトニン作動性)ニューロンの
脳の主要な人口のある領域に焦点を当てました。

縫線核は魚から人間に至るまでの広範囲の有機体の脳幹に見られる、進化的には古来の構造であり、それらはその製造と他の脳領域への
セロトニンの放出の両方を司どっています。

プロバー博士の研究室の上級研究員である、グリゴリオス・オイコノモウ博士が主導し、この研究では、睡眠を研究するためのモデルとして
広く使用されている“ゼブラフィッシュ”という小さな透明な魚を使用しました。

人間のように、ゼブラフィッシュの幼虫は昼行性です。
つまり、これらの睡眠は主に夜に起こることを意味します。

まず、研究者らは、これらの縫線がセロトニンを産生しないように、ゼブラフィッシュを遺伝的に変異させました。
研究チームはこれらの変異魚は、通常の魚の約半分の睡眠量であったことを発見しました。

別の実験では、研究者たちは、縫線を完全に取り除きました。そして、これらの魚もまた、通常より睡眠量がはるかに少なくなりました。

「これは、魚が通常の睡眠量を得るためには、縫線核で生産されたセロトニンが必要であることを示唆しています。」
とオイコノモウ博士は言います。 

第3番目の実験では、それらの縫線が光によって活性化されることができるようにゼブラフィッシュを遺伝的に改変させました。
これらの魚に光を当てると、それらは眠りにつくことになります。
これは、縫線の活性化が睡眠を引き起こすことを意味しています。

セロトニンを合成しない魚の縫線を活性化しても、睡眠には影響がないため、この効果にはセロトニンが必要です。    

プロバー博士の研究室のチームはその後、グラディナル博士の研究室の科学者と共同でマウスのセロトニン研究を続けました。
大学院生であるマイケル・アルターマット氏が率いるこのチームは、マウスの縫線網のセロトニン作動性ニューロンを調べ、以前の研究と一致し、
マウスが目覚めている間は実際にほとんど活動的に動いていないことを確認しました。

プロバー博士の研究室がゼブラフィッシュで実験を行ったように、グラディナル博士の研究チームはマウスの縫線網の
セロトニン作動性ニューロンを遺伝的に除去すると、マウスが通常より睡眠不足であることを発見しました。

これらのニューロンを光で刺激すると、覚醒時にこれらのニューロンの天然に存在する基本的な活動パターンと一致する頻度で、光が照射した場合にのみマウスも眠りました。

  「ここには明らかな矛盾があります。ニューロンを刺激すると動物は眠りますが、それでもニューロンは通常、昼間に活動的になります。」
とアルターマット氏は言います。  

オイコノモウ博士は次のように説明しています。
「睡眠を制御する2つの主な要因があります。1つは概日時計です。それは、日中に明るくなると体は目覚め、そして暗くなる時に、体は眠るということを知っています。

他の要因は恒常性睡眠圧と呼ばれています。
午前中に目を覚ますと、たった今起きたばかりなので元気ですが、時間が経つにつれて疲れて眠くなり、そうして睡眠圧が蓄積されていくのです。
もし、夜寝れなければ睡眠圧は更に高くなり、翌日は外が明るくても疲れて眠いのです。
そして、あなたの期日時計は、それ、起きろと命令します。  

「理論上、眠るためには高い睡眠圧が必要であり、概日時計は私たちのような昼行性の生き物の場合は夜間、夜行性の動物の場合は昼間にそうなる必要があります。」

研究者らは、縫線におけるニューロンの発生およびそれらのセロトニン放出が脳が睡眠圧を高めるための方法であると理論づけています。
実際に、彼らは、セロトニンを欠いているゼブラフィッシュと縫線が切除されたマウスが睡眠圧の低下を示すことを発見しています。

研究は動物モデルで行われていましたが、縫線領域とそのセロトニン産生はヒトの脳でも似通っています。  

この研究は、脳内のセロトニンレベルを上昇させる一般的な抗うつ薬の、睡眠関連の副作用の説明にも役立つ可能性があります。  

【以下のウェブサイトより引用】 
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/06/190624173822.htm