睡眠は過去の記憶の忘却を防いでくれるのか

肥満や心血管疾患のリスクを下げることから、集中力や全体的な日常のパフォーマンスを改善することまで、睡眠は私たちの健康に重要な役割を果たすことが証明されています。

新しい研究において、カリフォルニア大学サンディエゴ医科大学の研究者は、睡眠も人々が生涯を通じて継続的に学ぶことに役立つ可能性があると報告しています。

2020年8月4日、eLifeのオンライン版で発行された報告では、研究者らは睡眠や覚醒などのさまざまな脳の状態をシミュレートできる計算モデルを使用して、睡眠がどのように新しくエンコードされた記憶を統合し、古い記憶へのダメージを防ぐのかについて調べました。

「私たちが眠るとき、脳は非常に忙しく、日中に学んだことを繰り返し学習します。睡眠は、記憶を再編成し、最も効率的な方法でそれらを再現するのに役立ちます。

私たちの調査結果は、記憶は静的ではなく動的であることを示唆しています。 つまり、記憶は古い記憶でさえ、最終的な記憶ではないのです。睡眠は絶えずそれらを更新します。」

と、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の教授であり研究の筆頭著者であるマクシム・バジェノフ博士は述べています。

「私たちは、睡眠サイクル中に、古い記憶と新しい記憶の両方が自然に再生されることを予測します。これにより忘却が防止され、記憶を呼びおこすパフォーマンスが向上します。」

バジェノフ博士は、睡眠中の記憶再生は、同じニューロン集団が複数の干渉記憶を保存できるようにすることで、忘却に対して保護的な役割を果たすと述べました。

「私たちは毎日多くの新しいことを学び、それらの記憶は古い記憶と競合します。すべての記憶に対応するには、睡眠が必要なのです。」

たとえば、1つの一時停止の標識で左に、1つの信号で右に進んで、駐車場に移動する方法を学習することを想像してみてください。翌日、別の方向を使用して別の駐車場に行く方法を学ぶ必要があります。バジェノフ氏は、睡眠はこれらの記憶を統合し、両方の記憶を可能にすると述べた。

「テニスをするときは、ある程度の筋肉の記憶があります。ゴルフをする方法を学ぶなら、同じ筋肉を別の方法で動かす方法を学ぶ必要があります。

睡眠は、ゴルフを学ぶことでテニスで習得した方法を消さないことを確かなものにし、異なる記憶を脳内に共存させることを可能にします。」

とバジェノフ博士は述べました。

著者は、睡眠の修復的価値は、自動運転車に動力を供給し、人間をはるかに超える性能で画像を認識する、現在の最新のコンピューターシステムに欠けているものである可能性があることを示唆しています。

ただし、これらの人工知能システムは継続的に学習する機能がなく、新しい情報が学習されると古い知識を忘れてしまいます。

「新しく学習した後に忘却を防ぎ、継続的に学習できるようにするために、コンピューターやロボットシステムに睡眠のような状態を追加する必要があるかもしれません。」

とバジェノフ博士は述べました。

バジェノフ博士は研究結果が睡眠中の記憶と学習を改善するための新しい刺激技術の開発につながる可能性があると述べました。

これは、高齢者や学習障害のある人にとってじゃ特に重要です。

「睡眠は確かに多くの重要な脳と身体の機能に関係していますが、人間の知性、つまり経験から継続的に学び、新しい知識を生み出し、世界が私たちの周りの世界の変化に適応する能力を可能にするために重要かもしれません。」

とバジェノフ博士は述べました。

 

 

【以下のリンクより引用】

Can sleep protect us from forgetting old memories?

Medical Xpress