研究でレム睡眠の調節における前頭前皮質の重要な役割が強調される

急速眼球運動 (REM) 睡眠は、通常は鮮明な夢が見られる睡眠サイクルの段階です。

この重要な睡眠段階では、筋肉の弛緩、眼球の素早い動き、心拍数の上昇、不規則な呼吸パターンを特徴とし、記憶の定着と感情の処理に関連しています。

ペンシルバニア大学の研究者らは、最近、レム睡眠の調節における脳の外層の前部である前頭前皮質（PFC）の役割を調査する研究を実施しました。

PFC には、思考、行動、感情、複雑な計画、記憶処理、学習、その他の重要な機能を制御するさまざまな必須脳領域が含まれています。

「人間の画像研究では、人間の内側前頭前野がレム睡眠中に強く活性化されることが示されました。」

と研究を実施した研究者の一人である、フランツ・ウェバー氏は述べました。

「私たちは、この活性化が単にレム睡眠を制御する皮質下回路のためなのか、それとも内側前頭前野（MPFC）自体の活動がレム睡眠の調節に役割を果たしているのかどうか疑問に思いました。」

Nature Neuroscience誌に掲載された最近の研究の一環として、ウェバー氏と彼の同僚は、皮質ニューロンがレム睡眠の誘発に寄与しているかどうかを調べることにしました。

そのために彼らは眠っているマウスに対して 2 つの異なる実験を実施しました。

最初の実験では、研究者らは標的技術を使用して、MPFC ニューロンでチャネルロドプシンという光依存性イオンチャネルを発現させました。

これにより、特にマウスの睡眠に関して、これらのニューロンが短期間活性化されると何が起こるかを解明することができました。

「ノンレム睡眠中にニューロンを活性化するためにMPFC に光を当てると、ほぼ毎回、マウスがレム睡眠に移行することがわかりました。」
とウェバー氏は説明しました。

「2 番目の重要な実験は、MPFC ニューロンの活動を監視することでした。私たちは、MPFC ニューロンで蛍光カルシウムインジケーターを発現させることによってカルシウムイメージングを使用しました。この技術を使用すると、睡眠中のMPFC ニューロンの活動を画像化することができます。」

ウェバー氏と彼の同僚が使用した実験手法は、カルシウム濃度に基づいてニューロンの活動を画像化したものです。

ニューロンが活性化されると、そのカルシウム濃度が上昇し、その結果、ニューロンが使用したカルシウムインジケーターの蛍光が増加します。

言い換えれば、ニューロンの活動が活発であればあるほど、明るく見えるのです。

研究者らの観察により、マウスがレム睡眠段階に入ると多数のPFCニューロンが強く活性化されることから、レム睡眠におけるPFCニューロンの役割が確認されました。

「私たちの研究の重要な発見のひとつは、皮質がレム睡眠の調節に役割を果たしているということです。」

とウェバー氏は述べました。

「レム睡眠コントロールの最も一般的なモデルでは、この脳の状態が主に視床下部と脳幹の皮質下ニューロンによって制御されていると想定されていました。

第二に、レム睡眠中の MPFC の活動は、「急速眼球運動睡眠」の名称の理由ともなっている急速な眼球運動による特徴的なレム睡眠のサブステージである、位相性レム睡眠も調節することがわかりました。」

ウェバー氏と彼のチームが集めた最近の研究結果は、レム睡眠を調節していると思われる皮質と視床下部に関わる神経回路の概要を明らかにしています。

PFC ニューロン活動の調節不全や睡眠障害は精神疾患と関連しているため、その発見は臨床的な意味を持つ可能性もあります。

たとえば、過去の研究においては、人間の脳でマウスのMPFCと同じ役割を果たす腹内側前頭前野が、うつ病と診断された人では過剰に活性化していることが判明しています。

研究チームは、MPFC ニューロンの活性が高まると、マウスの睡眠中の「素早い眼球運動」の回数が増加することを発見したため、その発見はとりわけ、レム睡眠パターンを利用してうつ病を検出し、それをより深く理解するための技術開発に役立つ可能性があります。

「MPFC を活性化すると、レム睡眠中の素早い眼球運動の回数が増加しますが、MPFC を阻害すると逆効果であることがわかりました。」
とウェバー氏は付け加えました。

「したがって、MPFC の全体的な活動は、レム睡眠中の急速な眼球運動の回数と相関している可能性があります。

言い換えれば、急速な眼球運動を観察することで、それが前頭前皮質の活動を知る手がかりとなり、そして、その活動における潜在的な異常に関する情報を提供する可能性があります。」

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