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精密栄養療法と低脂肪食: 糖尿病管理に大きな違いはなし

『The American Journal of Clinical Nutrition』誌に掲載された最近の研究において、研究者らは、2つのカロリー制限での減量食の影響を理解するために、前糖尿病患者、または中程度に管理された2型糖尿病患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)の変化と血糖変動を比較しています。


背景

食後の血糖反応(Increased postprandial glucose response, PPGR)での増加とその結果として生じる酸化損傷は、2 型糖尿病、心血管疾患、がん、肝疾患、肥満、および関連する死亡のリスク上昇と関連しています。

PPGR 管理のための従来の方法は、低炭水化物食などの血糖負荷の低い食事や、全植物性食品などのより可溶性の食物繊維を含む食事によるものです。

しかし、低血糖負荷または低炭水化物含有量の標準的な食事では、同じ食品に対する PPGR の個人差が考慮されていないため、臨床試験ではさまざまな結果が現れ、時には思わしくない結果が得られました。

 

研究について

本研究において、研究者らは個人栄養プロジェクト (PNP) の一環として考案された機械学習ベースの個人化アルゴリズムを使用しました。

PNP は、個々の PPGR を予測するために、腸内マイクロバイオーム関連の血糖反応と耐性のメタゲノム プロファイルを含むデータセットでトレーニングがされました。

派生モデルでは、間質性グルコース測定値、タイムスタンプ付き食事の栄養情報や、参加者での睡眠、身体活動、空腹、ストレスレベル、HbA1c値などの参加者個人の特性などの他のデータも考慮されました。

『Personal Diet Study』 と呼ばれるこのランダム化臨床試験では、介入期間中の HbA1c と血糖変動の変化を調べることにより、PNP アルゴリズムに基づく個人化された食事が標準化された低脂肪食と比較されました。

この研究では、前糖尿病である、または、ライフスタイルの変更の単独、またはライフスタイルとメトホルミンの併用によって2型糖尿病が管理され、肥満または過体重を併発し、推定糸球体濾過量が毎分60 ml、1.73 m2を超える18歳から80歳の成人を対象としました。

参加者は、標準化された食事または個別化された食事にランダムに割り当てられました。

PNP アルゴリズムを使用して PPGR を予測するために、参加者からは便と血液のサンプルが採取されました。

両グループには減量のための行動カウンセリングが行われ、スマートフォンのアプリを使用して食事がモニタリングされました。

個別化された食事を摂取するグループの個人には、PPGR を減らすためにスマートフォン アプリを通じてのフィードバックが提供されました。

継続的な血糖モニタリングに関するデータは、ベースライン時、3 か月、6 か月の時点で収集されました。

便サンプルはマイクロバイオーム分析に使用され、人体計測学、健康変数、社会人口統計情報、および HbA1c に関するデータと関連付けられて、個別の食事スコアが決定されました。

測定された一次アウトカムには血糖変動の平均振幅(MAGE)およびHbA1c値が含まれ、二次アウトカムには持続的血糖測定での平均値、連続総正味血糖作用(CONGA)、変動係数、および標準偏差が含まれていました。

 

研究結果

PNP アルゴリズムによって設計され、個別化された食事は、標準鉄器な食事と比較して HbA1c や血糖変動に大きな変化はありませんでした。

標準食グループの MAGE 値は毎月 0.83 mg/dL 減少しました。

比較で、個別化された食事を摂取したグループでは、MAGE の減少率は毎月 0.79 mg/dL でした。 HbA1c の変化も 2 つのグループで同様の傾向を示しました。

連続血糖モニターでのグルコース測定値の変動係数に加えて、血糖変動および HbA1c の他の測定値も両グループで減少しました。

分析を性別で階層化した場合でも、2 つのグループ間で差異は観察されませんでした。

毎月の HbA1c の変化は、標準食のグループと個別化された食事のグループでそれぞれ 0.02% と 0.01% であり、グループ間の値の差は統計的に有意ではありませんでした。

研究の限界としては、研究対象者が主に女性と白人であったため、人種や民族を超えて調査結果を一般化できないことが挙げられます。

さらに、「PNP アルゴリズム」はイスラエルでの人口を対象に設計されており、米国の人口の大部分を占める白人のサンプルで検証されているため、他の人種および民族グループに対するアルゴリズムの結果は異なる可能性があります。

アプリの使用が難しいことにより、自己管理型の食事の遵守が低下した可能性もあります。

 

結論

個別化された PNP アルゴリズムによって設計された減量食では、前糖尿病段階にある個人または管理がされている2 型糖尿病患者の間で、
標準化された減量食と比較して、HbA1c または血糖変動値に有意な差は見られませんでした。

 

【以下のリンクより引用】

Precision nutrition vs. low-fat diet: No significant difference in diabetes management

News Medical

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