肥満の男性は進行性前立腺癌では生存率がより良い可能性

2021年7月12日（ヘルスディニュース）　-　男性が進行前立腺癌を患っている場合、肥満は何らかの生存上の利点をもたらす可能性があると予備研究が示唆しています。

イタリアの研究者は、全身に広がった前立腺癌の男性の中で、肥満の男性はその後、数年間のうちに死亡する可能性が低いことを発見しました。

研究によると、正常体重の男性の20％に対して、肥満の男性では約30％が3年後もまだ生存していました。

研究者らは、前立腺癌に対する防御としてもっと太るようにアドバイスされている男性はいないことを強調しました。

肥満は、多くの癌を含むさまざまな慢性疾患を発症して死亡するリスクが高いことに関連しています。

しかし、何年にもわたって、ボディマス指数（BMI）が高い癌患者はより長く生存する傾向があることがいくつかの研究でわかっています。

これは「肥満パラドックス」と呼ばれることもある現象です。

新しい発見は、このパラドックスが進行性前立腺癌にも当てはまる可能性があることを示唆しています。

しかし、研究に関与していない1人の専門家は、結論を出すのに注意を促しました。

酷評として、研究対象となった患者の肥満または痩せの理由は明らかではないとニューヨーク市のマウントサイナイ医科大学の泌尿器科医であるビナヤック・ワガスカル博士は説明しました。

彼は、BMIは、男性がホルモン療法に反応しなくなった進行がんを発症した後にのみ測定され、前立腺癌の診断直後ではないと述べました。

ホルモン療法やステロイド薬といった、前立腺癌の特定の治療法は体重増加を引き起こす可能性があるため、これは部分的には重要です。

さらに、ワガスカル博士によると、患者の体重は、彼らが抱えていた他の病状によって影響を受けた可能性があります。

彼は、この研究は「興味深い概念」であると述べましたが、診断時に男性のBMIを測定するなどの、さらなる研究の必要性を強調しました。

この研究のために、ミラノのサンラファエレ大学のニコラ・フォッサティ博士と同僚は、

以前の臨床試験に関与した約1,600人の男性のデータを調べました。

すべての患者は、ホルモン療法に反応しなかった転移性前立腺癌を患っていました。

転移性癌とは、癌が体内の離れた部位に転移したことを意味します。

米国癌協会によると、初期の前立腺癌は高度に治療が可能ですが、転移性癌は異なります。

そのような進行性疾患がある男性での5年生存率は約30％です。

この研究で、フォッサティ博士のチームは、BMIが肥満の閾値である30以上の男性は、BMIが低い男性よりも3年間で死亡する可能性が29％低いことを発見しました。

研究結果は、オンラインで開催された、欧州泌尿器科学会（EAU）の年次総会で日曜日に発表されました。

会議で発表された研究は、査読付きのジャーナルに発表されるまで、一般的に予備的なものと見なされます。

会議のニュースリリースにおいて、フォッサティ博士は、次のように述べました。

「この肥満パラドックスは、おそらく組織脂肪と癌ゲノムの関係が原因で、他のいくつかの癌で見られており、この分野でさらなる研究が必要です。」

一方、彼は、この研究結果は癌化学療法と他の薬物療法との間の何らかの相互作用を反映しているかもしれないと述べました。

「この高齢者グループでの肥満患者は、他の状態での薬を服用している傾向があります。そして、これらの薬がどのように相互作用をしているかを完全には理解していません。」

EAUの科学会議室の議長であるピーター・アルバース博士はまた、一般的に肥満パラドックスの背後にある理由は不確かであると警告しました。

「BMIが高い患者は、治療の毒性とその副作用に耐えることができるのかもしれません。」

とアルバース博士は発表の中で述べました。

「前立腺癌では、組織脂肪に含まれるホルモンの保護効果が原因である可能性があります。

BMIがわずかに高い健康な男性は、非常にスリムな男性に比べて全体的な平均余命が長いことが知られています。」

しかし、彼はしれは全て推測であることを強調しました。

「これらの異なる結果の背後にある生物学的メカニズムを特定するには、さらなる研究が必要です。」

アルバース博士は述べました。

「そのメカニズムが証明されるまで、進行性前立腺癌患者での治療法の変更を推奨することはできません。」

ワガスカル博士によると、実際、他のいくつかの研究では、肥満が前立腺癌を発症するリスクが高いだけでなく、「がんに関連する転帰の悪さ」にも関連しています。

フォッサティ博士は、健康的な体重の範囲が目標であるべきであることに同意しました。

「肥満は多くの癌や他の病気の危険因子であり、患者は常にBMIを18から24の健康的な数値でいるように目指すべきです。」

と彼は述べました。

【以下のリンクより引用】

Healthday