電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / 閉経後の女性はどんな人が再発性尿路感染症になりやすいのか

閉経後の女性はどんな人が再発性尿路感染症になりやすいのか

テキサス大学(UT)ダラス校の研究者は、閉経後の女性ではどういう人が再発性尿路感染症(UTI)にかかりやすいかを示す膀胱内の特定の細菌を特定し、エストロゲンがその感受性を低下させる役割を果たしている可能性があることを発見しました。

「膀胱内の有益な細菌と、閉経後の女性におけるエストロゲンホルモン療法の使用との間に非常に強い関連性があることがわかりました。」

と、自然科学・数学科生物科学の助教授であるニコル・デ・ニスコ博士は述べています。

「エストロゲンは、生殖過程を調節するだけでなく、全身の化学的環境を形作る上でも重要です。このホルモンが失われると、それが提供していたメリットが全てなくなります。」

デ・ニスコ博士は、Cell Reports Medicine の 10 月 18 日の印刷版にも掲載されており、先行して9 月30 日にオンラインで公開された研究の責任著者です。

研究者らは、UTI の病歴のない閉経後の女性において、いわゆる「善玉」細菌と尿中エストロゲンとの間に強い相関があることを発見しました。

尿路感染症は、最も一般的な成人の細菌感染症の 1 つであり、特に女性では深刻な医学的負担となることが多く女性の50% 以上が生涯に渡りUTIに苦しんでいます。

そして加齢がUTI に関連する最も強い危険因子の 1 つです。

UT サウスウェスタンメディカルセンターの泌尿器科教授である フィリップ・ジマーン博士と協力し、研究チームは75 人の閉経後の女性を 下記の3 つのグループに分けて試験を行いました。

●尿路感染症の既往歴がない人

●再発性尿路感染症があり試験時にも罹患していた人

●尿路感染症を再発しているが、試験時には罹患していなかった人

 

デ・ニスコ博士の研究室のポスドク研究員であり、記事の主著者であるマイケル・ニュージェント氏は、UTI とエストロゲンが、閉経後の女性で尿路と生殖器に見られるすべてのマイクロバイオームと呼ばれる微生物のグループを形成していることを研究が示唆していると述べました。

「私たちが発見したのは、感染の途中にある女性、つまり再発性尿路感染症の病歴があるものの現在は尿路感染症では陰性である女性が、尿路の病気を引き起こす可能性のある微生物で満たされたマイクロバイオームを保持していたものの善玉菌は少なかったということです。」

と彼は述べました。

対照的に、エストロゲン療法を受けていた女性の多くは、膀胱には「悪玉菌」がありませんでした。 研究者らは、尿中に見られるエストロゲンの量が多いことは、マイクロバイオームにおける乳酸菌などの善玉菌の優位性に相関していると述べています。

研究者らはまた、再発性UTIの女性のマイクロバイオームには、UTIの病歴のない女性よりも多くの抗生物質耐性遺伝子が含まれていることも発見しました。

抗生物質耐性遺伝子は細胞間で交換される可能性があり、耐性が細菌集団全体に急速に広がり、感染症の治療がより困難になります。


抗生物質は病気の原因となる細菌と闘うためにはいくぶん効果的ですが、デ・ニスコ博士は、UTI の治療においての最大のハードルの1 つは、抗生物質が必要でないときに処方することであり、それが、

抗生物質耐性を加速していることだと述べています。

「この問題に抗生物質を投入することはできません。そうしなければ、再発する感染症のサイクルを断ち切ることはできないのです。」

とデ・ニスコ博士は述べました。

「抗生物質にあまり依存せず、すぐに使える治療法について考え始める必要があります。むしろ、エストロゲンなどを使用するか、エストロゲンとプロバイオティクスの併用療法を行うことができます。」

デ・ニスコ博士は、新しい情報では、おそらく新しいスクリーニングおよび予防ツールの開発を導くことができると述べました。

彼女は全細胞ワクチンを研究しており、他の解決方法も開発できると言います。

UTD の生物科学の准教授であるケリー・パーマー博士は、抗生物質耐性の専門家であり、記事の著者の 1 人です。

彼女は、見過ごされがちな人口統計に対処するためこの研究は重要であると述べました。

「この研究は、通常は研究の対象とされていない閉経後の女性の健康という、満たされていない重大なニーズに応えています。」

とパーマー博士は述べています。

「慢性感染症、慢性尿路感染症、高齢女性のこの問題については更なる研究と新しい治療法が必要であり、そして一般的な注目も集める必要があります。」

デ・ニスコ博士と彼女のチームは、閉経後の女性のマイクロバイオームを経時的に追跡する5 年間の縦断研究を開始しました。

「尿中微生物叢の分野で、この種の縦断的な研究はこれまでまだ行われていません。」

と デ・ニスコ博士は述べています。

「そういった研究は、患者に継続して何度もサンプルを提供してもらう必要があるため、より困難なのです。」



 

【以下のリンクより引用】

In postmenopausal women, who is more prone to recurrent UTIs? Bladder bacteria may be an indicator

Medical Xpress

当社関連商品カテゴリー:抗生物質ウーマンズヘルス